戸門 慶

Kei Tokado

戸門慶は、郷土料理店「ともん」店主・職漁師である戸門秀雄氏の長男として生まれ、幼少期から「食」に親しんで育ちました。高校卒業後、調理師学校には通わず、約8年間、和食料理人として過酷な修行を積む中で、「10年後に店を経営する」という明確な目標から逆算したプランで下積みを乗り越えました。修行後も創意工夫を試せる環境を求め、飲食コンサルタントとしても活動し、経営戦略や財務、会計などを学びました。
2011年、戸門氏は飲食業界の劣悪な労働環境や予約・支払いトラブルといった現場の課題を解決するため、テクノロジーの活用を決意。厳選レストランの予約・決済サービス「ポケットコンシェルジュ」（創業当初は株式会社ポケットメニュー）を立ち上げました。元料理人としての深い理解と、誰かの紹介→食事→会話という業界の「お作法」に則り築き上げた「予約の取れない店のネットワーク」は、事業の大きな強みとなりました。当初からインバウンド対応やクロスボーダーM&Aも視野に入れており、最高の「おもてなし」をテクノロジーで実現することを使命としました。また、料理人とエンジニアという異なるマインドを持つチームのコミュニケーション課題を、「まかないご飯」を通じて乗り越えた経験も持ちます。
事業は産業課題と生活者ニーズのマッチングにより大きく拡大し、2019年にはアメリカンエキスプレス（Amex）による買収を実現。これはAmexの歴史上、アジア・日本地域初のM&Aとして注目されました。その後、Amex子会社の代表として、グローバルダイニング事業の強化に尽力しました。
2023年にAmexを退職した戸門氏は、「飲食業界で働く人の価値を創出したい」「飲食業界をアップデートする」という強い想いのもと、新たに株式会社TasteLinkを創業しました。自身が元料理人として培った経験と幅広い人脈を活かし、一流シェフやパティシエ、ソムリエ、フーディといった食のプロと企業をつなぐクリエイティブ・プラットフォームを設立。飲食業への深い理解と革新的なアプローチで、業界に新たな価値を創造し、食文化の発展に貢献し続けています。さらに、TasteLinkの売上の1%を「Taste for Kids 〜食と未来プロジェクト〜」に投じ、子どもたちに食を通じた豊かな経験と学びの機会を提供することで、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。